2013年11月3日日曜日

もしも地球惑星科学で科学コミュニケーションするなら


今月開催されるサイエンスアゴラ2013で、
もしも地球惑星科学で科学コミュニケーションするなら
というテーマのパネルディスカッションを行います!
「地球惑星科学」は、地球及び惑星の成り立ちやそこで起こる現象を解明するといった、とても広い範囲に跨る研究分野です。この分野には、地質の研究のみならず、地球の生い立ち、宇宙生命体の探索、生物の進化、気候の変動、地震・・・など様々な研究分野があります。
この分野の成果は本やインターネットを通じて社会に還元され広く認知されているものもありますが、基礎研究的な側面が強く社会との親和性が低いものもあります。
どんな場面で、何を伝えればいいのか?果たしてこの分野に適した「科学コミュニケーション」の「かたち」とは?
本イベントでは、科学に関連する職業を持ち、かつ地球惑星科学に関連したバックグラウンドを持つ3名のゲストをお招きします。このパネルディスカッションで、参加者の方々とともに地球惑星科学にとって適した科学コミュニケーションの「かたち」を考えてみましょう!


日時:11/10(日)10:30-12:00
場所:日本科学未来館 7階 会議室1
事前参加登録不要
参加費無料・どなたでも参加できます

パネリスト
大坪 誠さん(産業技術総合研究所研究員)
井上智広さん(NHKプロデューサー)
内尾優子さん(国立科学博物館職員)

ファシリテーター
山田健太郎(東京大学研究員)

2013年10月21日月曜日

「底生生物バー」開催レポート!

 ユニアスの千葉です。9月8日に底生生物バーを開催しました!
遅くなりましたが、開催の様子をアップします。
 
 
 ゲストに清家さんを迎えて、楽しい時間を過ごしました。
久しぶりの地球惑星科学バー@クランということと、サイエンスZEROの取材もあってスタッフも緊張気味でしたが、ユニアスらしいざっくばらんな議論を交わすサイエンスバーとなりました。
 
 
  「世界は穴でできているといっても過言ではない」
 底生生物研究者らしい名言でイベントがスタートしました。
思い出してみると、確かに海岸はカニや貝の巣穴だらけです。ということは、その生痕(巣穴の痕跡)は無数にあるということですので、海底や使用済みのものも含めると確かに穴だらけ・・・
見えるようで見えない穴の奥の魅惑の世界は確かに面白い研究対象です。そしてそれは生痕化石として地質学的タイムスケールで残されていくわけです。

 その巣穴を型取る秘密兵器が清家さん考案のアナガッチンガーです。
アナガッチンガーですが、先日まで科博で行われていた深海展でも展示されていました。ご覧になられましたか?とてもシンプルなキットでしたね。
シンプルな構造かつ取り扱いが簡単で、確実な成果が出せるキットというのは、論理的に考えなければ考案できないものだなと思います。優れものです。
アナガッチンガーへのより詳しい説明と動画はこちらから(金沢大・ロバートさんのHP)。
 
 
 バーの後半、 「底生生物(ベントス)は、沿岸域の食物連鎖や、沿岸域の景観、沿岸域の漁業においてとても重要な役割を担っています。 しかし沖縄や有明海のように、沿岸域は人類活動の場と重なることが多く、開発が優先されることが多い場所でもあります。ベントスの保護と開発のどちらを優先させるべきだと思いますか?」という議題での議論は特に白熱しました。
 
 災害もしくは開発により生態系が破壊された場合、それは「戻る」ことがあるのでしょうか?時々刻々と変化する地球上の環境に合わせて、生物群集もその組成が変化してきました。過去のどの期間においても、自然環境及び生物群集がずっと同じ状況だったことはないはずです。過去のどの時点に戻せば環境を戻したことになるのか、どうすれば戻したことになるのか、評価が難しい問題ですね。環境保全、環境復元という問題は、議論が尽きないテーマでした。
 
 
 次回はサイエンスアゴラ@未来館で、語り合いましょう!

2013年8月31日土曜日

底生生物バーのフライヤーができました!






何だかまた急に暑くなってきましたね。山田です。
今週末は分析に追われています。土日返上なのは残念ですが、7月の最初からずっと準備してきた試料を一気に測定しているので、何だか感慨深いです。あぁ、もう夏も終わるな…と。

さてさて、底生生物バーのフライヤーが完成しました!!

もうそろそろ秋が近づいてきていますが、夏の終わりに清家弘治さんと一緒に底生生物のことを考えてみませんか?申し込みはこちらから!



2013年8月25日日曜日

「底生生物バー」に参加する前に


さて、続けて失礼します。ユニアスの山田です!地球惑星科学バーでは、毎回「トリビア」と、考えていただきたい「問い」を出題しています。「問い」の方は申込時に回答していただくので、必ずご覧になるはずです。「トリビア」はツイッターで毎日1問ずつ出題しているので、そちらでご覧になった方もいらっしゃると思います。こちらでは、「トリビア」の問題文と答え、ならびに「問い」の文章を載せておきます。ぜひ、底生生物バーに参加する前に予習をし、いろいろと考えを巡らせておきましょう!ちょっと長いですが、楽しみながら答えてみてくださいね。 

【トリビアの問題】
Q1. ベントスとはヒトデ,ウニ,サンゴ,海藻などのような,海底に生きる生物の総称である。
Q2. ヒラメは海底面に生息しているため、ベントスである。
Q3. ベントスの巣穴や這い跡が海底面に残されていることがある。
Q4. 海底生態系を調査することで、海の環境を知ることができる。
Q5. ベントスはいわゆる食物連鎖とは無関係な世界に住んでいる。
Q6. ベントスそのものの化石だけでなく、ベントスの巣穴や這い跡も化石になることがある。
Q7. ベントスは深海底にはいない。
Q8. 巣穴を調べることで巣穴を作った動物の生態を調べることができる。
Q9. 深海で巣穴を調べるときは、人間が潜って巣穴の形取りも行う。
Q10. 津波のような大災害でも、ベントスにはほとんど影響がない。

【トリビアの答え】
A1. ◯:海底面で暮らす生物(動植物)をベントスとよびます。海底面を歩いたり、海底面の下に潜ったり、海底面に固着してほとんど動かなかったり、その生態は様々です。
A2. ×: ヒラメは海底面でジッとしていますが、水の流れに逆らって泳げるのでベントスではありません。
A3. ◯: ベントスの作る巣穴や這い跡などの痕跡は、ベントスが他の場所へ移動した後も残されることがあるため、ベントスの生態を調べる上で重要です。
Q4. ○: ベントスは有機物を分解するものや水質を浄化するものもあり、海洋の環境を支える生物群の1つと考えられています。
A5. ×:ベントスは海底面付近で一次生産を担うものもあれば,海洋生物を捕食したり逆により大型の動物に食べられるものもあり、食物連鎖の中で重要な役割を担っています。
A6. ◯:地層中に巣穴や這い跡の化石が残されていることがあります。そのような化石は生痕化石と呼ばれています。ベントスには化石になりにくい動物がいますが、それらの生態も、生痕化石から明らかになることがあります。
A7. ×: ベントスは浅い海の底だけでなく、深海底にもその生態系が広がっています。
A8. ◯:巣穴の入り口が小さな穴でも、その下には複雑な形が作られていることがあります。どの生物がどのような巣穴を作るのかを調べることは、ベントスを研究するために重要です。
A9. ×:深海で巣穴の型を取る時は、潜行ロボットで作業します。昨年、アナガッチンガーと呼ばれる装置で、深海底で初めて巣穴の型を取ることに成功しました。
A10. ×: 津波が来た後には、大型のベントスが海底に見られなくなります。これは東北大震災の津波に関する調査で分かりました。 

【問いの文章】
Q1. ベントスの中には、例えば船によって偶然運ばれて他の海域で繁栄するなど、人間活動の影響によって生息域を広げる種がいます。しかし、このような外来種は新たな食材になるものあります。外来種が繁殖することについて、あなたはどのように考えますか?
Q2. ベントスは、沿岸域の食物連鎖や、沿岸域の景観、沿岸域の漁業においてとても重要な役割を担っています。しかし沖縄や有明海のように、沿岸域は人類活動の場と重なることが多く、開発が優先されることが多い場所でもあります。あなたは、ベントスの保護と開発のどちらを優先させるべきだと思いますか? 

みなさんは、どのように考えますか?そして、考えた意見を、ぜひ研究者にぶつけてみましょう!
申し込みはこちらから。



「底生生物バー」を開催します!


こんにちは、ユニアスの山田です!
まだまだ暑い日が続いておりますが、たまに秋を感じる夜風が吹いていますね。

さて今回は、海底に棲む生物である「底生生物」をテーマに地球惑星科学バーを開催します!
貝やサンゴ、エビやカニも底生生物です。海底に棲む生物は、実は地球環境にとても大きな影響を与えています。また、逆に環境の変化に反応して底生生物の生態系も変化します。もちろん、人間による開発の影響も…。これまでの地球惑星科学バーとはちょっと変わって、生物と地球環境の関わり合いについて、語り合いましょう!
また、このイベントは東京国際科学フェスティバルのイベントとして開催されます。

東京国際科学フェスティバルのサイト(http://tokyo.sci-fest.net/2013/ja/index.php)も合わせてご覧ください。

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【日時】2013年9月8日 (日) 12:00 – 14:00
【会場】アイリッシュパブ・クラン (東急東横線自由が丘駅南口から徒歩30秒)
TEL: 03-3725-9116 住所: 東京都目黒区自由が丘1-8-18自由が丘ノーブルビル3F
【ゲスト】清家弘治さん (東京大学・助教)
【ファシリテーター】山田健太郎 (国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ)
【対象】大学生・専門学校生以上 
※参加はどなたでも可能ですが、内容は上記の参加者向けとなります
【料金】500円 (※ドリンクは別料金です)
【募集締め切り】9月7日 (土)
【主催】Universal Earth
【申し込み方法】こちらからお申し込みください
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ふるってご参加下さい!

2013年2月20日水曜日

「南極カフェ」開催レポート!


こんにちは!ユニアスの大島です。
寒い日が続いていますね…
ユニアスのメンバーのうち半数が大学院卒業を控えており、私もようやく修士論文を提出しました(>_<)

すっかりご無沙汰になってしまいましたが、昨年11月のサイエンスアゴラで行われた「南極カフェ」についてリポートします!


前回のイベントでは国立極地研究所の菅沼悠介さんをゲストに迎え、過去の地球環境変動のお話から南極調査のリアルな体験談、さらには研究予算の話まで、ディープに掘りさげて議論されました。

今回は当日参加の方がほとんどでしたが、なかには南極越冬隊に詳しい方も!
サイエンスアゴラのイベントということで、様々な年代層の方に来ていただけました。


コーヒーブレイクでは、菅沼さんご自身が南極で着用していた装備品の数々が展示されました。
テレビでしか見たことのない重装備の数々…
実はこれらのほとんど、メーカーからサンプルとして提供されているそうです。

コーヒーブレイクのあとのディスカッションでは、主に研究予算の使い道の話題になりました。
南極調査の予算のうちの半分以上は、実は燃料費だそうです。
菅沼さんの研究されている"過去の地球環境変動"は、将来の環境変動の予測にはとても重要である一方、直接の成果が見えにくいものでもあります。

研究コストと研究成果の社会への還元、ユニアスのこれまでのイベントでもよく話題にあがりますが、地球惑星科学ならではの課題ですね。

最近では政権もかわり、科学研究予算の再分配が進められています。
これまでの仕分けの経験も踏まえ、コストと成果について考えながら研究を進めてもらいたいですね。

少人数ではありましたが、ご参加いただいたみなさんありがとうございました!